ガンダムアニメの名作「∀ガンダム」は全てのガンダムシリーズの終着点
∀ガンダムは1999年4月から放送開始したテレビアニメで、1993年の機動戦士Vガンダム以来の富野由悠季総監督による作品になっています。
∀ガンダムは全てのガンダムシリーズの終着点
ガンダムシリーズは初代ガンダムからVガンダムまで続く宇宙世紀の物語と、新たな世界観によるGガンダムやガンダムW、ガンダムXが放送された後の作品でしたが、この∀ガンダムは正暦2343年の物語となっていて、どのシリーズとも関連がない作品なのかと思われましたが、ストーリー後半に明らかになった作中のタブーとなっていた「黒歴史」がすべてのガンダムのシリーズを内包するものであることがわかり、すべてのガンダムシリーズの終着点がこの∀ガンダムとなっています。
∀ガンダムの世界観はかなり独特
世界観もかなり独特なものとなっており、文明が進んだ世界には見えない1930年代くらいのアメリカをモチーフとした建物や乗り物が登場することもユニークです。
ストーリーは地球へ帰還しようとする月の主な勢力であるディアナカウンターと地球の軍隊であるミリシャとの衝突、∀ガンダムや禁忌兵器など歴史的遺産の発掘、ディアナカウンター内部の強硬派の裏切りから始まり、ミリシャは月へとたどり着き、月の軍事勢力ギンガナム軍が蜂起し、ミリシャの一部と結託して黒歴史の遺産を活用しようと動き、かつて文明を滅ぼした禁忌兵器の月光蝶を発動するまでの戦乱となってしまい、月からディアナカウンターの先遣調査隊として1年早く地球で暮し、地球の人となじんでいった主人公ロランが発掘された∀ガンダムでギンガナム軍と戦います。
キエル・ハイムの月の立場で演説
月の女王であるディアナ・ソレルと、地球のアメリアという国の領主の娘キエル・ハイムの容姿が瓜二つであることからふとしたことで入れ替わり、ともに地球と月の橋渡しのために奔走し、地球の者ながら月の立場で演説するところも見どころです。
ガンダムシリーズながら世界観を一新しているため、コールドスリープ、ナノマシンなどのテクノロジーが作中に登場する反面、今まで登場したスペースコロニーに関しては大々的には登場しません。
また、ザックトレーガーという地球から大気圏を離脱して宇宙と向かう施設のダイナミックさは非常に見どころで、ザックトレーガーのアニメは今後も出で来ないのではないかと思われます。
インパクトのあるデザインの∀ガンダム
メカデザインも∀ガンダムの大きなおすすめのポイントで、ブレードランナーやスタートレックのメカデザインを担当したインダストリアルデザイナーシド・ミードが主人公機体のでヒゲのガンダムと呼ばれた斬新かつインパクトのあるデザインの∀ガンダム、ディアナカウンターの主力機体で他のモビルスーツの約二倍、40mもの全高を持つウォドム、ディアナソレル親衛隊の強力なモビルスーツ・スモー、月から地球への降下が可能なモビルスーツ・フラット、ギンガナム軍のギム・ギンガナムが操る左右非対称のデザインが特徴的な敵方最強のターンエックス、ターンエックスの随伴機で無人操縦も可能なバンデッド、作業用機器のモビルリブをデザインしています。
∀ガンダムのメカデザインが発表された時違和感や格好よさ、新鮮さなど様々な感情から異常に引き込まれたのをよく覚えています。
また、過去のガンダムシリーズに登場したザクIIに酷似しているボルジャーノン、ガンダムZZに登場したカブールとよく似たデザインながらサイズの小さいカプルなど過去シリーズのメカがアレンジされて登場するところも非常にユニークで、機体に背骨を取り入れたデザインもいくつか登場しており、ガンダムシリーズでもユニークなものです。
モビルスーツのアクションも非常に迫力があり、前シリーズまでは比較的空を飛ぶシーンが多かったガンダムですが、今作はどの機体も地上を走るシーンが多くなっており、二足歩行のロボットであるということがよくわかるアクションが楽しめます。序盤は戦闘機とウォドムとの戦いも多く見られ、高低差の違いにより奥行きのある絵となっています。また、ガンダムシリーズでは久しぶりに鎖付きのハンマーを使う描写が見られますが、こちらも新たなアイデアが加えられ迫力あるものとなっています。
キャラクターも個性的
キャラクターも非常に生き生きとした描写となっており、悪人らしい悪人はあまり登場せず、どの人物も自分で考えて動いているという印象があります(反面、自分のいた陣営を離れるキャラクターも多いです。)主人公ロランは女装させられ、別の人物としてパイロットをさせられるなどの描写もユニークで、月からきて地球で過ごしているという彼の複雑な立場の中で戦い続ける姿は感動を呼びます。
ガンダムシリーズの総決算的作品
∀ガンダムはガンダムシリーズの総決算的作品ではありますが、ガンダムシリーズを初めてみる方にもわかるようにできており、ストーリーも主人公ロラン、ディアナ・ソレル/キエル・ハイムを追っていけばそれほどわからなくなるということはないでしょう。機械は使い方次第ということも大きなテーマとなっており、敵に渡ってしまった∀ガンダムや禁忌兵器を使って難局を脱する姿などもはシーンの積み重ねで非常に響くものがあります。